スティック様式
STICKハーフティンバーならではの表情が建築デザインとして独立

 スティック様式の名称は、20世紀後半に入ってエール大学教授ビンセント・J・スカーリーJr.によって命名された。それまではビクトリアン様式として一括りにされていた中の、木造建築物の構造体である軸組を、化粧としてファサードのデザインに取り入れたものである。
 スティック様式のデザインのベースになっている構造モデルは、アングロ・サクソンがデンマークからブリテン島に持ち込んだハーフティンバー(ブラックアンドホワイトとも呼ばれている軸組で、ほぞを差し込み、そこに栓を差し込んで、釘を使わない構造工法)である。
 これは、建築の意匠として「構造物が構造体の表面に現れた」デザインを採用することで、安定感のある美しさを表現することになった。あくまでも意匠としてであって、実際の構造ではないので、2×4工法の建築物にも、パネルやそれ以外の鉄筋コンクリートにも、この様式を採用することはできる。それだけに、より「らしく」構造の理屈に合った理詰めのデザインが必要となる。
 スティック様式では、できるだけ木構造の架構の特色が強調されるよう、庇や軒、破風を大きく強調し、腕木や肘木、筋交、合掌、木造アーチなどを、できれば壁の表面だけではなく壁から突き出して表現することで、その様式上の特色や面白さは強調される。