アーリー・コロニアル・リバイバル様式
EARLY COLONIAL REVIVALルネッサンス建築の再発見

対称形の構造原型を一部窓によって崩したもので、両袖の切妻部分を前面にして、その間に玄関部分を挟み、1階の玄関ポーチコ部分の上階をベランダにする。屋根には豪華なドーマーウィンドウを用いることが多い。煙突、棟やペディメントにも装飾を重視している。

 アーリー・コロニアル・リバイバル様式は、アーリー・コロニアル(初期入植時代)と呼ばれる1600〜1715年までの時代、つまり、イギリスでジョージ王朝が成立する以前に、イギリスが世界各地の植民地で建設したイタリアン・ルネッサンス様式の建築が、19世紀後半に再評価されることによって生まれた様式である。
 前頁のシングル様式と同じく、アメリカのアイデンティティ形成を皆が求めた時代。当時アメリカで最も大きく影響力のあった建築事務所であった、マッキム・ミード・ホワイト建築事務所は、かつて建てられた初期入植時代のコロニアル様式建築の見学旅行を行い、アメリカの建築遺産から学ぶべきものを探索した。
 この作業の中で、17〜18世紀に非常に素朴な形でイギリスから伝えられたルネッサンス建築が、19世紀末の時代においても、審美的に優れていることを再発見した。そしてもう一度、その様式(イングリッシュ・コロニアル)を、この時代の人々の建築デザイン要求に合うように再現したのが、アーリー・コロニアル・リバイバル様式である。
 そのデザインの最大の特色は、アーリー・コロニアルの基本デザイン(素朴な対称形の箱型、大きな切妻屋根など)を踏襲しながら、ダブルハング・ウィンドウを清掃・維持管理上の理由から、二連窓にして設けるようにしたことと、玄関の装飾に豪華さを付加することであった。
 アーリー・コロニアル・リバイバル様式は、当初は18世紀の建築詳細部分を借用して、単純化されたクィーン・アン様式の住宅にそれらを応用していた。しかし1900年代初頭までに、建築家たちはもっと本格的なコロニアル様式の住宅をつくり始めた。コロニアル・リバイバル(復古)様式に関して、連続した窓や、棟の側面ポーチに関する嗜好を除けば、その相違を明らかにすることはおそらく困難だろう。