• カナダウィスラーに建つカントリーハウスをイメージした外観には1階は煉瓦張りいし2階は漆喰の塗り壁を施した。6角形をデザインされた半分の搭屋がアクセントとなっている。

  • マストアイテムだった薪ストーブは西向きとなるリビングに設置。ストーブの熱が2階にも行き渡るよう、吹き抜けとなっている。薪ストーブは調理にも使え、お客さんを招いたときにピザやローストビーフを焼いたり、上に鍋を乗せてシチューを煮込んだりするのにも使い、楽しんでいる。

  • キッチンは『スタイルカンパニー』のオリジナルのものを採用。高さは北米仕様となっているが、「少し高めのほうが腰は痛くならない」という奥様の要望から。収納の扉はメイプル材を使い、ブライワックスで塗装することで、経年変化した、アンティークのような風合いを出している。

  • テーブルは、リビングのコーヒーテーブルと同じブランドのものを輸入しようとしたが、サイズが合わず、ダグラスファーで造作してもらった。このテーブルと、薪ストーブの横の柱は、使い込んだアンティーク感をより強調するため、専用の液剤に浸し、乾燥させてからブライワックスで仕上げたという。

  • 6角形の半分の搭屋部分の壁には煉瓦を張り、天井にはシダー材で仕上げ山小屋のイメージなのだそう。

  • 勾配天井が印象的な主寝室。天井には、節の抜けたパイン材をあえて選び、ステイン塗装することで、「ロッジの納屋」をイメージした。壁には、仕上がりが砂岩のように、微妙な凹凸が生まれる塗り壁材をアメリカから輸入している。これも納屋感を高めるためだ。

  • オーク材の床にホワイトのドライウォールを施した廊下は絵画を飾るなどミニアトリエになりそう。

  • 階段を上げった2階踊り場スペース。大きな吹抜けになっている事で真冬でも薪ストーブ1台で快適なのだとか。

  • 主寝室、子ども部屋を中心に構成される2階は、コンセプトが「屋根裏部屋」で、居室は勾配天井を生かした。正面にあるのは子ども部屋で、左右の部屋がシンメトリーに設計されている。壁には、奥様の友人の画家に絵を描いてもらい、遊び心を加えた。

  • トイレは、あえて他の居室と雰囲気を変えたかった。赤を要望したのは奥様だったが、赤だけでは強すぎるので、赤と白のコンビネーションでカナダ国旗をイメージした。手洗い、大きな収納もあり、これも奥様のアイデアだった。

木のぬくもりに包まれる、至福の時へ

さまざまな要素を重ねあわせ、カナダの邸宅への憧れを形に

『スタイルカンパニー』の家づくりは、あくまでも「施主起点」である。どんなライフスタイルなのか、どんな家具を置きたいのか。ヒアリングを何度も重ね、施主の思いを、本人たちが言葉に出来ず、気づいていない部分まで掘り下げ、その場でスケッチを描きながら具体的なイメージに落とし込んでいく。
 吉岡邸の場合、奥様が大学、そして卒業してからもカナダのビクトリアで暮らしていた経験をもとに、「カナディアン・カントリースタイル」という要望があった。それをベースに、木材をどう使ってカナダの邸宅らしい雰囲気にまとめるか。薪ストーブにどんな役割を持たせるかなど、細かな部分を詰めていった。
 家に人が合わせるのではなく、最初に人があり、思いを形にし、快適に過ごしてもらうには、どんな家がふさわしいのかを考える。そんな流れを大切にしているという。
 イメージを形にする過程で、必要なものがあれば海外から輸入し、場合によっては造作も行う。薪ストーブを置くため、背後の壁にはカルチャードストーンを、下にはスレートタイル敷いているが、これはカナダの家づくりを参考に輸入したもの。床、壁、収納扉、天井には複数の天然木材を使い、使い込んだアンティーク感を出すためのワックスを塗り込んだ。加工には手間がかかるが、理想に近づけるために、決して妥協はしない。
 細かな部分へのこだわりが感じられるものの一つが、ダイニングの天井。空間のアクセントとするため、ここにだけ、赤みの強いアロマティックシダー材を使っている。主寝室は天井、床を異なるパイン材とし、加工の仕方を変えるなどのアイデアで、カナディアン・カントリースタイルの憧れが表現されているのだ。
 木のぬくもりに包まれ、薪ストーブでゆらめく炎を見ながら過ごすひと時は、かけがえのない、家族の時間となっている。

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