居住空間のやすらぎを色で表現する
フランスやイタリアに見られる、タイムレスな石造りの建物。歴史を重ねても色あせることのないその佇まいに思いを馳せ、心の中に抱いたイメージをそのまま家したい。ローマの休日などで観た、しっとりとした石の風合いを感じさせる家にしたい。そんな思いで建てられたN邸は、重厚過ぎずスタイリッシュ過ぎない、程よいバランスを持ったヨーロッパ風の洋館。
「私は以前、事業用の施設を建てたことがあります。そこはリラックスできる空間に仕上げようとプロバンスの家をデザインモチーフにしたのですが、使われているケーシングなどは日本の既製品。それはそれで良いものなのですが、長く過ごしているうちに、ちょっとした違和感を感じるようになってしまいました。だからこそ自宅を建てる時は、輸入の素材にトコトンこだわろうと決めたんです」
住まいづくりは何年かかってもいいので、後悔がないようにじっくりと進めたい。本物の建材を使った、本物志向の家に暮らしたい。そう思ったNさんは、長い期間をかけて住宅誌などから情報を収集。ハウスメーカー選びは難航したものの、素敵だと思える外観やインテリアを挙げていったところ、それらはどれもノアデザインが手がけたものだったという。
大開口の窓から柔らかな光が差し込むリビング、お互いの顔を見ることができるリビング階段。来客時でも使えるような2階にあるバスルーム、ストックルームやユーティリティスペース、シュークロークの設置……。ノアデザインにいざプランニングをお願いして図面が出来上がった時、Nさんの頭の中に描いていたイメージそのものが、そこに表現されていた。
インテリアのコンセプトは”色で遊ぶ”こと。ダイニングの壁はグリーン系の壁紙を用い、白のテーブルやキッチンと合わせることで落ち着きを演出。対照的にリビングは白壁の空間としながら、家具で彩りを加えた。配色はすべてNさんのセレクトだそうだが、シャンデリアや暖炉風のTV ボードなどはハウスメーカーからの提案。お互いの感性が融合した結果、心やすらぐ上質な空間が生まれたのだった。
「私たちの感性を汲み取っていただき、さらに知識と技術をもって設計していただいた私たちだけの家。竣工を迎えた時はとっても嬉しかったです」。Nさんは目を輝かせながら、理想の我が家について語ってくださった。